2014年12月07日
悪魔!続き!…

じゃあお前、悪魔っていうのは?!…
T先輩は暫く目を瞑り考えてから、意を決したようにポツリポツリと語り始めました…
当時T先輩は大学に近い世田谷の経堂の安アパートに住んでおりました…
T先輩は山の他にもう一つ趣味が有りました…
それは劇団の演劇を観ることでした…
住まいの経堂から近い下北沢辺りによく通っていたようでした…
T先輩は有名劇団の演劇のチケットをやっとの事で手に入れて、楽しみにしていたある晩のことでした…
明日の観劇を楽しみに提出用のレポートを書いていた時に…
レポートに没頭しておりました…
ふと、気づくと…
六畳一間の自分が机に向かっている後ろの卓袱台の横に男が座っておりました…
驚きながらもよく見てみると、燕尾服のようなものを着て、外套かマントみたいなものを着た紳士でした…
不思議とその時は何故かこの不審者に対して泥棒とか変質者とかの思いはしなかったとのことでした…
その紳士はニッコリと笑いながら…
勝手にお邪魔してすみません…
あなたはまだ若い、まだ惜しいので来ました…
何を言ってるのか理解出来ませんでしたが、こちらに危害を加えるようでもなく、不思議と不安感は湧いて来なかったとのことでした…
その紳士はトランプのようなタラットカードのような見たことの無いカードを手に持ち…
さぁ!…ゲームをしましょう…
簡単にルールを教えてもらい、T先輩はその紳士とカードゲームを始めました…
ゲームを始めると、とても面白くT先輩はカードゲームに夢中になりました…
何十回か勝負をして…
ふと、その紳士が言いました…
おっと、もうすぐ日付が変わる…
そろそろ清算しますかね…
一回づつ勝負で勝った方に一本マッチ棒を積んでおりました…
数えてみると、T先輩が僅かに紳士のマッチ棒を上回っておりました…
紳士は…この勝負はわたしの負けですね…
やはりあなたの生命力には敵わないようでした…
…では、このチケットは無効にさせて頂きます…
言うなり、楽しみにしていたやっとの事で手に入れた明日の観劇のチケットをビリビリに引き裂いてしまいました…
T先輩は驚き、何をするんだ!…
…と、叫んだ時は既に細かく引き裂かれた後でした…
では、わたしはこれで帰ります…
くれぐれもこの事は他言してはいけませんよ…
勝負が無効になってしまいますから…
T先輩が引き裂かれたチケットを何とか元に戻そうとしてる間に紳士は言葉だけを残して、気づくと部屋にはT先輩ひとりでした…
翌朝、T先輩は嫌な夢を見たなぁ…と、起き抜けに卓袱台の上を見たら…
そこにはビリビリに引き裂かれたチケットがありました…
結局、その引き裂かれたチケットを持って劇場に行きましたが、中には入れて貰えませんでした…
次の日の新聞に、世田谷の劇場で客席に照明器具が落下!…
しかし、たまたま落下した客席に客は居らず怪我人も出なかった!…とありました…
その客席こそがT先輩の席だったとのことでした…
なぁ…お前、悪魔っていると思うか?!…
あの時、俺がもしカードゲームで負けてたら…
しかし、わたしに語ってしまったT先輩は…
半月後、西上州の山で落石に合い帰らぬ人となってしまいました…