2014年11月03日
悪魔!…

わたしは高校時代は山岳部に所属しておりました…
てか、当時は登山が趣味でも無かったし、山にも登ったこともありませんでした…
ただ、中学時代から自転車にキャンプ道具を積んでアチコチ行ってましたので、その延長で山岳部に入れば野宿が出来るかと思い、部活の勧誘の先輩の口車に乗ったのでした…
まさかあれほどまでに山にのめり込むとは思いも依りませんでした…
ピカピカの一年生の新入部員から見たら、二年生三年生の先輩方はプロの集団に見えました…
今まで自己流でやってた野営とは違い、目から鱗でした…
色々と個性的な先輩方ばかりでした…
その中のひとりに三年生の無口な先輩がおりました…
仮にT先輩としときますが、T先輩は自分からは全く喋らなくて必要最低限の事しか口をききませんでした…
しかし幕営地で山での行動は全く無駄が無く的確な動きでして、惚れ惚れするくらいカッコ良く見えたものでした…
ただ、T先輩が卒業するまでの間、ほとんど会話らしい会話は出来ませんでした…
T先輩は農大に進みましたが、ワンゲルとかには入部せずに単独で山を楽しんでると聞きました…
わたしは一年生の時は二三年生にシゴかれ、二年生の時は三年生にシゴかれ、三年生の時は部長でしたがOBにシゴかれて楽しい部活を過ごす事が出来ました…(笑)
そんなわたしもOBとなり、たまに部活の山行や合宿に参加したりしておりましたが、基本は単独行で毎週末のように山へ行っておりました…
年一回のOB会には欠かさず参加しておりましたが、卒業してから何回目かのOB会で数年ぶりにT先輩と会う事が出来ました…
河原で焚き火を囲み呑みましたが…わたしはT先輩の横に腰を下ろしました…
相変わらず無口でしたが…
おぅ!…お前の噂は色々と耳に入って来るぞ!…毎週のように山へ行ってるらしいな!…
わたしは嬉しくなり深夜までT先輩と話し込みました…
てか、九割はわたしが喋っておりましたが…(笑)
そしてT先輩から…
年明けに安達太良山へ登る計画をしてるんだが!一緒に行くか?!…と言われ二つ返事で快諾しました…
一月の半ば三日間の予定で二人で入山しました…
ここ数日間の気圧配置が思わしくなく、出発前から大雪になるのは解っておりました…
嫌がるタクシーの運転手をなだめ透かしながら雪の林道を行けるところまで乗り入れました…
タクシーを捨てて、木陰で入山準備…
上下ゴアを着て、シルクの目出し帽に純毛の帽子で、フードを被り、インナーグロブに厳冬期用グロブをして更にオーバーミトン…足許はクソ重い登山靴にロングスパッツ…
キスリングの両サイドにはアイゼンを下げてワカンを載せてザックカバーで覆い準備完了…
ピッケルを持つと、さぁ登るぞ!と言う気持ちに引き締まります…
降りしきる雪の中、林道の突き当たりまでツボアシで歩き、そこでワカンを装着して交代しながら膝までの雪道をラッセルして進みました…
黒鉄小屋まで行きそこで泊まる予定でしたが、手前の樹林帯を出たところで吹雪になり、全くのホワイトアウト…
ザイルでお互いの身体を結び、コンパスと地形図で進もうとしましたが、2m先が見えない状況では危険と判断して樹林帯に戻りました…
雪の吹き溜まりの少ない場所に幕を張りました…
…今夜はここで沈殿だな!…
狭い幕の中でオプチマスで雪を溶かし水を作り早い夕食を食べました…
あとはたまに幕に積もった雪を卸すくらいしかすることはありません…
持ってきたウイスキーを二人でちびちびやりながら、ここには何も無いけど楽しい時間だけは幾らでも有るぞ!と思いました…
呑み始めてから、無口なT先輩が珍しく饒舌になりました…
そんな中でT先輩がポツリと言いました…
…お前、神様を信じるか?!…
わたしは無宗教でしたし神仏の崇拝者でもありませんでしたが、窮地に追い込まれた時等は知らず知らずに神頼みをしてたかも知れません…
まぁ、人それぞれの神様ってのは有るんじゃないすか?!…
んー!… そうだよな…
じゃあお前、悪魔!ってのはいると思うか?!…
えっ?!…悪魔!っすか?!…
今の今まで自分の中で悪魔とかについて考えた事は全くありませんでした…
そしてT先輩がポツリポツリと語り始めました…
すみません…
引っ張るだけ引っ張って前置きとなりました…
続きは来月号を待て!…
(笑)