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2012年06月12日

雨の夜!…そして!…




雨の日曜日…



ユキエは朝から水戸へ行ってくる!と言って出かけていった…


わたしは山へ行こうと考えていたが、雨のために取り止め…


一日中、ユキエの部屋でゴロゴロしていた…





ユキエは水戸へ行ってくる!と出かけた日は毎回夕方には帰宅していた…




わたしは一日家にいて、まだ何も食べていなかったこてに気づき…


ユキエが帰ってきたら、一緒に何か食べに行くか!と考えていた…








しかし…



ユキエは夕方には帰ってこなかった…




20時になっても21時になっても帰ってこなかった…



携帯電話などない時代、今さらながらわたしはユキエとの連絡を取りようがないことに気がついた…


ポケベルは持っていて、店との連絡に使っていたが…

しかし、わたしは番号を知らなかった…












ユキエが帰ってきたのは日付が変わる寸前だった…



かなり酔っていた…



「起きてたんだ?!…」



「うん…」



「私が帰ってくるのを待っていてくれたの?」



「いや、何も食べてなくて眠れなくて…」


わたしは冗談っぽく言ったつもりだった…



「…あっそう…勝手にすれば…」



ユキエはコートを脱ぎ捨てソファーに倒れこんだ…



「大丈夫かよ?…」



「うるさいわね!ひとりにさせといてよ…」






かなり酔ってて機嫌が悪いようだった…




わたしはユキエが酔って寝ちまうか!機嫌がなおるまで、大人しくしてようかと隣の部屋のベッドに横たわり、天井を見ていた…





小一時間たった頃だろうか…


空腹で目が覚めた…




いや、ソファーの上からわたしを呼ぶユキエの声で起きたらしい…




ユキエは帰ってきた時の格好のままだった…




「ねぇ!…取って欲しい物があるんだけど!…」





わたしはユキエに手を曳かれ、バスルームの脱衣場へ連れて行かれた…





天井のスポットライトが電球が切れているのか?…

わたしがユキエの部屋に転がり込んで来た時から点かなかった…



シャンプー台の蛍光灯があるので不便は感じなかったが!…




「ねぇ!…天井の電球を外して…」



何だ?!…

夜中に電球の交換かよ…




わたしはシャンプー台の椅子に載り手を延ばして電球を回した…




「違うっ! ソケットごと外して…」



…??わたしは天井に埋め込まれたソケットを回してみた…





かなり簡単に回り…


カチッ!と音がして天井から外れた…




見上げた天井には、握り拳くらいの丸い穴が口をあけていて、電気のコードがわたしの手のソケットに繋がっていた…




「どうするんだ?…」



電球を取り替えるのではないことには気づいていた…



「天井の穴に手を入れて!…」


わたしは椅子の上で背伸びをして天井の穴に手を入れてみた…




「ポーチがあるから取って!…」



「?えっ?!…」



わたしは天井の穴の中で手を動かしてみた…



直ぐに何かに手があたった…



そっと掴んで引き出してみると小さな化粧ポーチだった…





わたしはポーチをユキエに手渡した…












受け取ったユキエはポーチを開け、中身をシャンプー台の上に並べ始めた…






銀色の小さなティースプーン!…



注射器!…



小さなビニール袋に入った氷砂糖のカケラのような物!…






「ライター貸して!…」



ユキエはティースプーンの上に氷砂糖のカケラのような物を載せ…



スプーンの下からライターの火をあてた…



氷砂糖のカケラのような物は見る見るうちに溶け出して液体状になった!…



ユキエは器用な手つきでスプーンの上の液体を注射器に吸い込ませた…



左腕を上げて、脇の下の静脈に注射器の針を刺した…



ゆっくりと中の液体がユキエの身体に入っていくのが見えた…









全てが終わると、わたしは全てを元に戻した!…




ユキエは大きなため息を何度も吐きながらソファーに戻っていった…








わたしは大麻やマリファナはよくやったが!…


クスリだけは手を出さなかった…





「やめた方がいいよ!…」

わたしは言っても無駄なことだと悟り、口には出さなかった…






「私!…あんたとここで一緒に暮らすようになってからずっと手を出さず我慢してた…」






わたしは黙って聞いていた…




「今日ね…水戸へ行ったら…ダンナがあと二ヶ月で仮出所が決まったんだ!…」





ユキエは毎月、水戸刑務所で服役中のダンナに会いに行っていたのだった…




「あんた!…ダンナが帰ってきた時、ここにいたら殺される…」







わたしは黙ったまま身仕度を始めた…


…と言っても着の身着のままだから特に何も荷物はない…


ユキエが揃えてくれた着替えは多分、処理してくれるだろう…






わたしは玄関で靴を履きながら、背中にユキエの視線を痛いほど感じた…



振り向きたかったが…

出来なかった…




ドアノブに手をかけた時、ユキエの声を背中で聞いた…




「ねぇ!あんた…日本語で一番美しい言葉って何だか知ってる?!…」






わたしは一度も振り返らずドアを閉めた…







外は雨の夜だった…









取り敢えず、西新宿のアパートへ帰ろうと思い…



雨の山手通りを傘もなく歩き出した…



時たま空のタクシーがわたしの横を徐行しながら通り過ぎた…





わたしは雨の夜の中…



歩き続けた…







ユキエの最後の言葉を思い浮かべた…


「ねぇ!あんた…日本語で一番美しい言葉って何だか知ってる?」






知ってるさ…








それは「サヨナラ!」だよ!…











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