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Posted by naturum at

2013年03月20日

増刊号別冊!…




おかげさまで、こんな月一ブログも12回目をアップする事が出来ました!…



キャンプブログとは別にわたしの過去のエビソードを毎月アップして来ましたが…


ここに来て、方向性で迷っております…




このままだと稲川淳二的なブログになりそうで…(笑)


まぁ、ネタ的には尽きないので楽なんですけどね!…(笑)







閉鎖的なブログですので、読者の方も数人しかおりませんが…


毎月お読みになってくださる読者の方々は、どんな話しがお望みでしょうか?!…





…怖い話し?!…



あなたの知らない裏世界の地下賭博の話し?!…



昔の山の話し?!…



ブログではギリギリの削除覚悟の妖艶な話し?!…(笑)



私小説的な文学的作品?!…(笑)









このブログはどこに向かってあるのか?!…


自分では試行錯誤中です…





数少ない読者の皆さん!…



このブログの方向性を決めて欲しいのですが…







それに依って一周年を迎える来月からのブログアップの参考にしたいと思っておりますんで…






てか、一年で12回しかアップしてないのに、忘れずに毎月訪問して下さった方々に感謝の念でいっぱいです…






ありがとうございました…




  


Posted by yaburin! at 16:52Comments(16)

2013年03月09日

相部屋の親子!続き!…









…男の子がいきなり…



「窓から誰か、部屋の中を見てるよ!…」と言いました…






えっ?!…



目の不自由な男の子に何が見えるのか?!…



寒気がする中…わたしは目が冴えてしまいました…











「何を言ってるんだ…誰もいないよ!…」



父親がギシギシ音を立てながら下の段のベッドから身を起こしたようでした…





そのまま窓のところへ行き…


「チッ、誰だ窓を開けたのは?!…」







いや、誰だ!とか言われてもこの部屋には父子とわたししか居ないし…



わたしは開けた覚えはないし…







父親は窓から顔を出して、周りを見回しているようで、カビ臭い毛布を被っていても外気を感じることが出来ました…









父親は窓を閉めてベッドに戻って…


「誰も居ないから、早く寝なさい!…」と男の子に言いました…
















「お父さん!…もう部屋の中に入って来てるよ…」



その時、ギシッと床が鳴りました…




誰かが部屋の中を歩いているような音でした…





…と同時に鈴の音がしました…



…………!…


…真っ暗な山小屋の部屋の中で聴こえた鈴の音を表現する文字は、どう書けばよいのでしょうか?!…






次の瞬間…


カビ臭い毛布を頭から被ってるわたしは重圧を感じました…




まるで誰かがわたしの上に覆い被さったような感じで、身動きが出来なくなりました…




今までも金縛りはよくありました…


金縛りに遭った時は、わたしは闘って力任せに自分を解放して来ましたが…


その時は身を任せました…



暫くすると、スッと重圧が無くなりました…





下の段から父親の「うっ!…」と言う声が聞こえました…



あぁ…下の段に行ったんだな…



…と、同時に鈴の音が聴こえました…










……わたしは、そのあとの記憶がありません…
















…朝…目覚めた時は、部屋には人の気配がありませんでした…




二段ベッドの梯子を降りて下の段を見ると、綺麗に毛布が畳まれており、父子の姿はありませんでした…



…ただ、窓が少し開いてました…





食堂に行き、朝食のお粥を作っていると、小屋の親父が来て…


「おはよー!ゆっくり寝れたかい…」



いや、ゆっくりなんて寝てねーよ…


「あの父子は?!…」



「夜明け頃、何か大切な用事があるから…って、慌てて出て行ったよ!…」










わたしは朝食を済ませて部屋に戻りました…



荷物を纏めて…窓を閉めて部屋をあとにしました…





ザックを小屋に預けて、もう一度山頂まで行きました…



小一時間山頂にいて小屋に戻り、親父に挨拶をして山を降り始めました…












一気に降り…鞍部に着いた時、思い出しました…



あっ!…ここだ…








前年、ここで遭難した方の碑が…


碑と言っても、ここに昔からある自然石で、普通に歩いていたら見過ごすような存在でした…




立て掛けた萎れた花束で存在がわかるような状況でした…








…ただ、石の前に置かれた鈴が風が吹くと鳴っておりました…









  


2013年02月19日

相部屋の親子!…




もう30年くらい前の話しですが、中央本線沿線のその山小屋は現在も営業しておりますので…
ここでは某所の某山小屋として話しを進めます…











夜行の鈍行列車で麓の駅に降り立ったのはわたしと六人の大きなザックを背負ったパーティーだけでした…



彼らから見たら、登攀用の小さなアタックザックのわたしは日帰りハイカーに見えたことでしょう…



六人パーティーはわたしとは違う中央線を挟んだ反対側の山へ登るようでした…






今回は、前月の白馬から親不知までの長い長い道程の疲れを癒そうかとのんびり山小屋泊まりの予定でした…











ゆっくりと誰にも逢わない山道を満喫しながら、昼過ぎに山小屋に到着…



受付を済ませ…


今夜はわたしともう一組の泊まり客だけとのこと…



相部屋でいいか?と聞かれましたが、半日独り言ばかりだったので話し相手も欲しかったから…

快く承諾しました…




狭い部屋には二段ベッドがあり、わたしは上の段に陣取りました…








…フロントで超高価な缶ビールを購入して、山小屋から小一時間の山頂まで行ってみることにしました…




山頂で展望を独り占めしながら缶ビールを開けて至極な一時を過ごしました…



陽も傾き…

暗くなる前に山小屋に戻らなければ心配するかと思い…

…山小屋泊じゃなくて、山頂直下でビバークにすれば良かったなどと考えながら、山小屋へと降って行きました…




ヘッドライトの世話になる前に山小屋に戻りました…



…まだ今夜相部屋になるもう一組は到着しておりませんでした…





食堂で夕食を自炊してる時に、もう一組がヘッドライトを点けて到着しました…





見ると、30代後半の父親と小学校低学年の男の子でした…




ヘッドライトは父親だけしか装着しておりません…




父親に手を曳かれた男の子の手には杖がありました…





その杖は、登山用の杖ではなく…


目の不自由な方が持つ杖でした…





父親は疲労困憊の様子でしたが、男の子は元気でした…



「あっ!ボンカレーの匂いがする!…」



角のテーブルでアルファ米とレトルトカレーを食べていたわたしは思わず苦笑いしてしまいました…




寡黙な父親と目礼を交わして、父子は部屋へ案内されて行きました…






わたしは食事を済ませ、スキットルのウイスキーをチビチビやって…


部屋に戻ろうかと立ち上がった時に、父子が夕食の自炊のために食堂に入って来ました…




入れ違いで食堂を後にする時に後ろで男の子の声が聞こえました…

「今の人、お酒臭かったね!」


わたしは又もや苦笑いしながら部屋へ戻りました…





二段ベッドの上で毛布を被りながらチビチビやってるうちに、いつの間にか寝てしまったようでした…












…ふと、鈴の音が聴こえた気がして目を覚ましました…



二段ベッドの下から父子の声が聞こえました…



「その鈴!…どうしたんだ?!…」



「登ってる時に、拾ったんだよ…」







…鈴!…




酔って寝ぼけながらも今日、どこかで鈴を見た記憶がありましたが思い出せませんでした…





暫く父子の他愛ない話しをBGMに聞きながらウトウトしておりました…












…一瞬!…部屋の気温が一気に下がった気がしてカビ臭い毛布を頭まで被りました…










男の子がいきなり…






「窓から誰か、部屋の中を見てるよ!…」と言いました…





えっ?!…


目の不自由な男の子に何が見えるのか?!…





寒気がする中…わたしは目が冴えてしまいました…
















…続く…






  


2013年01月17日

日常的によくある怖いこと!…




日常的によくある怖いこと…





本人が気付くか気付かないで過ごしているかだけのことかと…














拾ったよ…赤い手袋……中身ごと…











…越沢バットレスでクライミングルートを外れてしまい行き詰まってしまった時、頭上にスリングが見えたので…掴んだら、青大将だった件…





最終バスで大倉に到着、仲間の待つ戸沢の出合いまで真っ暗な林道歩き二時間…
ふと、前方を見るとヘッドランプで歩く姿が…足を速めて近づくが50mくらい先を歩く姿に何故か追い付けない…
何度目かのカーブで姿が見えなくなって、わたしもそのカーブを曲がって直線路に出たら、真っ暗闇で誰も居なかった件…





降雪時の釜トンネル…次々とパーティーのヘッ電が消えていく件…





朝起きた時、凍結防止のためにシュラフに入れて寝たはずの登山靴の右足だけがない…
幕から顔を出して見ると、数メートル先の岩の上に置いてあった…
この日の下山時、雪を踏み抜き滑落して右足を二十数針縫った件…





横尾の岩小屋でビバークした時、明け方ソロの人が何人か槍から下って来て岩小屋の前を次々と通り過ぎた…
…でも…全て同じ人だった件…




キャンプの夜…灯油ランプの灯火が突然大きくなる時…
あっ!来てるな…と思う時…





小屋番をやってた時…宿泊者は誰もいないのに、二階を歩く足音…
絶対に下に降りて来るな!と祈る時…





わたしを入れて五人パーティーで濃霧の中、縦走中…最後尾のわたしから見ると、わたしの前を五人歩いていた時…





疲れて山小屋に泊まり、布団を被って寝てた時…深夜に月明かりの窓から中を見ている登山者が居た時…
翌朝、寝てたのは二階だった事に気づいた時…





一日歩いて誰にも逢わなかった晩秋の光岳…
深夜…ジジ…ジジ…という音で目が覚めた…
シュラフの中で頭の横に置いてあったヘッ電を点けて音のする方を照らしたら…
テントの入り口を開けようとしてる右手だけが見えた件…





山梨の河原で野営時…
幕の中で夕食中…
ドサッとイキナリ音がして驚いた…
何かと思い、幕のファスナーをちょっと開けて外を見た時…
外からも中を見ていた白目だけの目が見えた件…





家で布団の中で携帯をイジっていたら…
突然メールが来た…
知らない人からだったが…添付された画像を開いて見てみると…
家で布団の中で携帯をイジっているわたしの画像だった件…











拾ったよ…赤い手袋……中身ごと…







キリがないので今回は、このくらいにしておきます…







日常的によくある怖いこと…



気付くか気付かないかだけなんですよね…





  


2012年12月19日

グッドラック!…ラストカード!…


電気屋…□□6…


不動産屋…□□10…


アニキ…□□J…


ソープ…□□4…


デブ…□□7…



最初のベット…




□□Jのアニキからベット…


アニキ…いきなりフルポットの2500円分のチップを出しました…


アニキはストレートな性格なので、わたしは伏せたカード二枚も絵札ではないかと推測しました…



ソープ…コール


デブ…コール


電気屋…コール


不動産屋…コール




四枚目のカードを配ります…




電気屋…□□6 K…


不動産屋…□□10 2…


アニキ…□□J 5…


ソープ…□□4 2…


デブ…□□7 9…




電気屋からベット…



電気屋もフルポット…15000円分のチップ…



電気屋、伏せたカードにKが有ってペアになったのは見え見え…



全員コール…




五枚目オープン…




電気屋…□□6 K K…


不動産屋…□□10 2 8…


アニキ…□□J 5 A…


ソープ…□□4 2 Q…


デブ…□□7 9 5…




電気屋、Kのペア…スリーカード確定か?!…



電気屋のベット…



やはりフルポットの90000円分チップ…




アニキ…レイズ…


90000円分チップに上乗せで10万円分チップ…



アニキ…Aがペアになったか?ストレート目のテンパイか?…



ソープ…ここでダウン…


デブ…渋々コール


電気屋…暫し考えコール


不動産屋…コール


見ると不動産屋のオープンカードは全てスペードだ…


フラッシュのテンパイか?…




この時点でポットのチップは775000円分になりました…



ディーラーは常にボットにいくらあるか把握していなければなりません…





六枚目オープン…



電気屋…□□6 K K 3…


不動産屋…□□10 2 8 7…


アニキ…□□J 5 A J…


デブ…□□7 9 5 3…




アニキがJのペアが出来た…




電気屋のベット…


長考の末、20万円分チップ…



ここでの長考は、自分はKのスリーカードをバラすのと一緒なのに…




不動産屋…コール


7はハートなので、すでにフラッシュ確定してるのか?…



アニキ…レイズ…


20万円分チップの上に10万円分のチップ…



デブ…ダウン…


電気屋…コール


不動産屋…コール




ポットのチップは、1675000円分…






ラストカード…



わたしは一人ひとりにグッドラック!と言いながらカードを伏せて配りました…




電気屋…□□6 K K 3□…


不動産屋…□□10 2 8 7□…


アニキ…□□J 5 A J□…





ラストベット…



電気屋、50万円分のチップ…



不動産屋…レイズ…


50万円分のチップの上に500円分のチップ…



アニキ…レイズ…


50万500円分の上に500円分のチップ…




電気屋…レイズ…


1000円分のチップの上に50万円分のチップ…




不動産屋…レイズ…


50万500円分のチップ…




アニキ…コール…




電気屋…レイズ…


500円分のチップの上に50万円分のチップ…




不動産屋…レイズ…


50万円分のチップの上に500円分のチップ…



アニキ…コール…




電気屋…長考の末にコール…





……ショー・ダウン…






電気屋…K A 6 K K 3 K…


Kのフォアカード…





アニキ…A A J 5 A J 4…


Aのフルハウス…





不動産屋…Q J 10 2 8 7 9…




わたしは目を疑いました…



不動産屋のカードは、8 9 10 J Qのストレートでした…




ただ……全てのカードがスペードでした…




ロイヤルストレート…




不動産屋はフラッシュが確定しておりましたが、ラストカードでグッドラックの女神が微笑んでロイヤルストレートになりました…





10数分間の勝負で不動産屋は6179000円を稼ぎました…



店には5パーセントの30万円が入りました…





不動産屋はスッと立ち上がり帰り支度を始めました…



残りの勝負は破棄しての賢明な勝ち逃げでした…




不動産屋はわたしに10万円分のチップを投げながら…



微笑んで、グッドラックと言いながら店を出て行きました…









  


2012年11月13日

グッドラック!…勝負!…




この夜は珍しく、新たに客が来ません…



当初からの五人がずっとテーブルに付いてます…





かれこれ六時間近く勝負してます…



それぞれのサイドテーブルには出前の寿司や中華飯店の点心などがあり、みんな合間に食べながらもずっと勝負してます…





ディーラーのわたしは一時間半カードを配り、30分休憩のローテーションです…



わたしが休んでる間はフィリピーナの女の娘がカードを配ります…





わたしは30分の休憩時間のうち25分は疲れて寝てました…






客の世話をしてる女の娘に三回目の休憩から起こされたわたしは…



…どう?!…と尋ねました…



女の娘は、電気屋さんが一人勝ち…と言ってわたしの傍を離れました…




テーブルでは常に笑い声が聴こえておりました…



フィリピーナのエレンは片言の日本語で常に場を盛り上げておりました…



客もエレンがディーラーの時は、賭博!よりはカードゲームを楽しんでいるようでした…








わたしは離れた場所からエレンに目配せして、ディーラーチェンジの合図を送りました…



ディーラーが変わる…勝負してる側としては…


勝ち組は更に引き締め、負け組はツキを変えようと…場の空気が変わります…





エレンは、モウアサダヨ!…ワタシカエルカラ、ディーラー、ヤブサンニカワルヨ…と言い、わたしにウインクしてディーラーの席を立ちました…



勝ち組の電気屋からエレンに一万円チップが三枚投げられました…



エレンは電気屋にもウインクして、グッドラック!…と言い残し、チップを握りしめ…換金して帰りました…






わたしは…ディーラー変わります!と言い、封の空いてない新品のBEEのトランプを12組テーブル上に出して、今夜ツイテない不動産屋に使うカードを選んでもらい、その場で封を開けてカードを広げて見せました…




この瞬間、場の空気が変わりました…



みんな、勝負師の目になりました…






…すでに明け方近く、あと小一時間の勝負です…





わたしはカードをシャッフルして、デブにカットしてもらいました…






ディーラーはカードをシャッフルする時はテーブル上でシャッフルします…


絶対にカードを手に持って持ち上げてはいけません…



客に、ゴトしてない!(イカサマしてない)との表示のためです…





客はそれで安心して勝負に挑めます…






しかし、わたしはカードを持ち上げずにシャッフルしながらゴト(イカサマ)出来る技術を身につけておりました…




前回の勝負のオープンされたカードを指を使い…例えばキングのカードが三枚!目に入れば、シャッフルしてるフリをして、勝たせたい人にキングを三枚送り込む事は簡単に出来ました…



それは店側から、負けが込んでる客に勝たせろ!とかの指示の合図が来た時だけの技でした…








ディーラーがわたしに変わり、小さな勝負が続きました…





この夜は全くのヒラ(イカサマ無し)でカードを配っておりました…







店は午前5時を越えた時点で、ラスト五回戦と、なります…







その二回戦目にわたしの長年のディーラー生活でも三本の指に入る勝負が訪れました…








電気屋…□□6…



不動産屋…□□10



アニキ…□□J…



ソープ…□□4…



デブ…□□7…







伏せられた二枚のカードはわたしもわかりませんでした…











…続く…



  


2012年10月03日

グッドラック!…序盤戦!…




これを書き出してから、とても後悔しております…



カードゲームを文章だけで伝える困難さに今更ながら気付いてしまいました…









セブンスタッドポーカー!…



ご存知でしょうか?…




順番に配られた七枚のトランプのうちの五枚で勝負するポーカーです…



最初に三枚のカードが配られます…


一枚目二枚目は伏せて配られ、三枚目だけ表向きに配られます…


この時点で一番大きな数字の人からベットが始まります…



(ベットとは賭け金のことです)



配られるカードは七枚だけですので、ほとんどワンペアかツーペアで勝負がつきますね…



中にはノーペアでもブラフをかまして勝つ人も居りますが、見破られて大怪我する人の方が多いです…




伏せられた二枚と表向きの一枚…


例えば表向きの一枚が「A」で伏せられた二枚も「A」だったら、その時点でスリーカード以上が確定ですね!…


でも他の人には伏せられた二枚のカードは解らないので心理戦の勝負になります…





伏せられた二枚と表向きの一枚の3枚からベットが始まり…


全員がコールかレイズをして、賭け金が揃えば四枚目が表向きに配られます…


ここでまたベット…



同じように五枚目、六枚目が配られ…


最後の七枚目は伏せて配られます…




この時点で、見えている四枚と伏せている三枚で相手の役を想像して勝負です…




もちろん、これは勝負にならないと思った時点でダウンも出来ます…








最初の勝負…



参加する人はアンティ(参加費)を出します…


アンティは五百円チップです…





浅草の電気屋…□□7…


不動産屋の親父…□□J…


アニキと呼ばれてる男…□□K…


ソープのオーナー…□□4…


太った男…□□2…




一番大きな数字のアニキからベットが始まります…


ベット(賭け金)はポッド(場に出てる賭け金)まで出せます…


この時点でアンティが五人分出てますので最高2500円まで賭けられます…




アニキ…千円チップを出しました…

ソープ…コールで千円チップを出します…

デブ…いきなりダウン…

電気屋…コール…

不動産屋…コール…



(コール…とは前の人と同額の賭け金を出すことです)




四枚目オープン…



電気屋…□□77…


不動産屋…□□J3…


アニキ…□□K5…


ソープ…□□4K…




電気屋が7のペアと、なりベット開始…


電気屋、フルポッドの6500円分チップを出しました…




不動産屋…ダウン…


アニキ…コール…


ソープ…コール…







五枚目オープン…



電気屋…□□77Q…


アニキ…□□K52…


ソープ…□□4A4…




電気屋、一万円のチップを出しました…



アニキ…コール…


ソープ…コール…






六枚目、オープン…



電気屋…□□77Q6…


アニキ…□□K528…


ソープ…□□4A4J…






電気屋、一万円チップ二枚出しました…


アニキ…ダウン…


ソープ…コール…





ラストカードが伏せて配られます…



電気屋…□□77Q6□


ソープ…□□4A4J□




電気屋のベット…一万円チップ二枚出しました…




ここでソープ…暫し考えレイズ!…



(レイズとは前の人の賭け金に更にアップして賭け金を出すことです)




一万円チップ二枚の上に更に一万円チップ二枚…




電気屋、暫く考えてからコール…




ここでショウダウン…




電気屋…Q877Q63…


Qのツーペア!…






ソープ…K44A4J2…



4のスリーカード…






ソープの勝ちでポッドの193500円のうち、5パーセントが店に入ります…








このように数分で数万円から数十万円になる一勝負が終わります…






この夜の序盤戦はソープがリードして、一時間ほどで三百万円分くらいチップが集まっておりました…






毎回、勝ち組の電気屋がこの夜はかなり負けが込んでおりました…













そして、明け方に一勝負数百万になった場面を迎えました








つづく…



  


2012年09月04日

グッドラック!…序章!…








銀座8丁目の裏通り…



博品館と今春湯の間辺りの雑居ビルにその雀荘がありました…




看板は出しておりません…



入り口には、「会員制」の札がかかっているだけでした…






しかし、連夜…人の出入りがかなりありました…







一階のテナントの横に鍵のかかったドアがあり…


客はインターホンを押して開けてもらいます…





ドアを開けると二階に続く薄暗い急な階段があります…






二階に上がると、雀卓が二つ…


壁には防音用の分厚いカーテンがぐるりと部屋を覆っております…




昔、スナックだったのか…大きなカウンターがあり、カウンターの中にはマスターらしき初老の男が飲み物を作っております…



夜になってから、数人の客がビルの階段を上がって行きました…










しかし、店内には客は誰も居りません…










ピンポ〜ン!…




また客が来たようです…




カウンターの中の男が入り口のモニターを確認します…



常連客とわかると、鍵を開けに階段を降りて行きます…






いらっしゃいませ…


男がにこやかに客を迎え入れます…





今夜はどう?…場は立ってる?…


高級ブランド品で着飾った太った男が聞きました…



はい!…皆さんお待ちですよ…



太った男を案内して二階に上がり…







壁の防音カーテンの一部を開けると、そこには鍵のかかったドアがあり…



三階に上がる急な階段があります…





三階でモニターを見ていた男が降りて来て鍵を開けて、太った男を三階に案内します…



いらっしゃいませ…皆さんお待ちですよ…





三階に上がると、ドレスを着た女の子が飲み物を聞きに来て…


オーナーらしい男がにこやかに迎えます…



今夜はセブンスタッドが立っておりますが…






部屋には、ポーカーのテーブルとブラックジャックのテーブルとバカラのテーブルがあり…



今夜はポーカーのテーブルに客が座っており、セブンスタッドポーカーが立っておりました…



(立ってる!…と言うのは、やってる!と言う意味です)







いらっしゃいませ…




わたしはカードをシャッフルしながら笑顔で太った男に応えました…




テーブルにはこれで5人の客が揃いました…





浅草の電気屋…



不動産屋の親父…



アニキと呼ばれてる男…



ソープのオーナー…




そして、太った男…





太った男は財布からゾクを出しチップと交換しました…



(ゾクとは一束二束のタバの事で100万円のことです…因みにズクとは10万円のことです)






チップは、色別!大きさ別になっていて…



最小のチップは500円で…



あとは、1000円、5000円、10000円、100000円のチップでした…














この夜は、わたしのディーラー時代の忘れられない夜になりました…









…続く…



  


2012年08月28日

添い寝!…その2!…




ピークの避難小屋に到着したのは20時過ぎ…



わたしは奴の肩を抱きながら小屋の戸を開けました…



真っ暗な小屋の中に二人のヘッデンの明かりが交錯しました…




小屋の内部は八畳くらいの広さで、半分…板の間で半分土間でした…



土間の片隅に岩を組んだ囲炉裏がありました…





とにかく、肩で息をしてる奴を休ませないと…



板の間に向かって一歩踏み出した時…








ヘッデンの明かりの中に、板の間にある何かが目に入りました…










わたしは瞬間的に板の間に倒れかかる奴の身体を支え…



奴を引き摺るように小屋の外へ出ました…











先輩!イキナリ何すかぁ?!…


奴は突然のわたしの行動にビックリしたようでした…








馬鹿!…

先客さんが寝てるんだよ!…




奴は暗闇の中、気づかなかったようですが…



板の間にシュラフが二つ並んでおりました…



避難小屋の20時過ぎ…


山では早朝行動のためにとっくに就寝時間を過ぎておりました…




先客の二人パーティーを起こすわけにいきません…



わたしは小屋の外でガスバーナーを出し…

夕食と明朝の分を作り始めました…


簡単にフリーズドライのおじやでした…





残っていた水を全て奴に飲ませ…



外で、後片付けを済ませ…


寝る準備をして、二人で小屋に入りました…




横で寝てる二人を起こさないように気を使い…


二人の横にシュラフを並べました…





明朝は2時起きだぞ!…


起きたら外で、さっきの残りを喰って、下の幕営地のみんなに合流だからな…




了解しました……


しました…の「た」と共に奴は深い眠りについたようです…







わたしは…



今日は長い一日だったなぁ!…と回想しながら、奴は明日からは大丈夫だと確信しながら横の二人と奴に挟まれていつの間にか深い眠りに引き摺り込まれていきました…
















嫌な夢を見て起きました…



ところがどんな夢だったか全く覚えていない…嫌な寝起きでした…








寒い…





ダウンのシュラフの中の身体が冷たい…




頭と身体が覚醒するまでの間に、これからの行動を反芻して…


奴のシュラフを覗きました…


規則正しく呼吸してる奴の寝顔は自信に満ち溢れているように見えました…



ふふ…


もう奴は大丈夫だなと確信しました…



横の二人はまだ寝ておりました…




時計を見ると3時半…



ヤベっ…寝過ごした…



早くしないとパーティーに合流出来ない…






静かに奴を起こし…



小屋の外で昨夜作ったものを温めなおし二人で食べました…




横の二人はまだ起きて来ません…



4時…もう明るくなって夜明けも近くなって、小屋をあとにしました…







奴は足取りも昨日とは別人のようでした…



パーティーがいる幕営地までは30分の下り道…



パーティーの起床時間は5時の予定…




パーティーのみんなが起きる頃には楽勝で到着出来る…



一皮剥けて成長した奴の姿にみんなは驚くかと思う…






幕営地が眼下に見えて…


自然と足早になってきました…







ふと、見ると…



眼下の幕営地に十人くらいの人が出発の準備をして、まさに出発しようかとしてるのが見えました…




こちらに向かって来るようです…




しかし…朝早いパーティーだなぁ…



などと思いながら下ると…



登って来るパーティーの先頭が見えてきました!…




…???…



見ると、登山者のパーティーではありません…



消防団の法被のようなものを着ております…





向こうもこちらに気づきました…







おはようございます!…



爽やかに声をかけましたが…



パーティーのみんなは怪訝な顔をしております…






その中の一人が…




お前ら上の小屋っさ泊まったんか?…




はい!…


下の幕営地に泊まってるパーティーの一員ですが、こいつがバテてしまい…上の小屋でお世話になりました…



わたしは笑顔で応えました…







……上の小屋っさにおロクさんがいたべぇ…











わたしは…



…瞬時に全てを知り…納得してしまいました…







上の小屋におロクさん……










登山用語でおロクさん!とは…







遭難して亡くなった方の事でした…







昨日…四人パーティーでピークの裏にある岩場を登攀中に二人が滑落して…


地元の消防団に捜索依頼して、消防団の方々の尽力で二人の遺体を発見し…


何とか二人の遺体をピークの小屋に引き上げたのが、わたしたちが到着する数十分前だったようで…



遺体の収容は明日にしよう…と、遺体をシュラフに入れて小屋に安置したようでした…




今朝早くに収容のために登って来たところに、わたしたちが下って来たので驚かれたようでした…







そう言えば、シュラフの二人はザックがなかった事に気づきました…



寝返りも寝息もなかった事に気づきました…






狭い避難小屋の狭い板の間に四人でピッタリくっついて川の字で寝ました…



片側がやけに冷たかった事に気づきました…














皆さん!…




山では非常時もあります…




非常時に避難小屋は命綱です…







避難小屋を利用した時に…












先客がいたら…




  


2012年07月31日

添い寝!…その1…




これはわたしの42話あるデアスティゴーニの第一話です!…



キャンプでご一緒して焚き火を囲んだ方々は何度も聞かされておりますが…



もう、ここに書き留めて封印しますのでご安心くださいませ…






…もう30数年前の話しになります…




高校時代は山岳部に所属しておりました!…



三年生の時は部長を任されておりました…



高体連の関東大会にも神奈川県代表校として参加しました…



丹沢が近かったため月に四回は登っておりました…



高校の部活は縦社会で、先輩の言葉には絶対服従の時代でした…



一年生は働き蜂でした…



二年生は中間管理職…



三年生は雲の上の存在でした…


そんな三年生も恐れおののくのが、OB!でした…



OBは神様のような存在でした…







前置きが長くなりました…





そんな…わたしも卒業してOBとなった最初の年の夏合宿の話しです!…








その年の合宿は十日間の東北の山の縦走でした…




上野駅に夜、集合して…


夜行の急行列車に乗車しました…

参加者は…



顧問の先生が一人…



三年生が一人…(三年生は受験のため夏合宿はほとんど参加しません)



二年生が六人…



一年生が三人…



OB参加がわたしの計12人でした…





夜行列車は定時に出発しました…




夜行で行くと、朝が辛いので…とにかく寝る事に務めます…



しかし、半年前まで中学生だった一年生は興奮して眠れません…




夏合宿は縦走になるため、初日が麓から山陵まで登るために一番キツいのが、まだ一年生にはわかっておりません!…








先輩たちは寝てしまってからも、トランプをしたり、おしゃべりが尽きなくて…








すみません…



当時、まだ未成年だったわたしは缶ビールを呑みながら、そんな一年生を眺めながらいつの間にか寝てました…





早朝5時前…



日本海沿いの田舎の小駅に停車しました…





一年生は先輩方を起こす!と言う命令がありましたので、ほとんど寝ておりません!…





わたしは、今年は大丈夫かなぁ?!…と、思いましたが…


毎年恒例の事だったのを思い出し…




まぁ、何とかなるかな?!…と、心配の種は捨てました!…






チャーターしたタクシー三台に便乗して、登山口に到着しました…








合宿朝一発目の登りほどキツいものはありません!…



それも海岸線から一気に2000m…


しかも夜行で来て寝不足状態!…






部長の三年生が先頭で、一年生!二年生の順番にパーティーを組みます…



顧問の先生は、全くのマイペースで…



写真を撮りながらあとを追って来ます…






わたしは最後尾から全体を見ながら、ペース配分や注意点を指示します…








小一時間も登り…




そろそろ休憩の時間にしようかと思った時に…



三年生の部長が、ちょっと広い場所で休憩を告げました…




わたしは昨年までシゴキにシゴイた奴が頼もしく育った事に満足して…



OBとして、口出ししなくてもよいことに…気が楽になりました!…






言い忘れましたが、パーティーは男子六人女子六人です!…





山では、女子が…疲れた!もう駄目…と、言っても心配は要りませんでした…



放っておいてもちゃんと追い付いて来ましたし…





ただ、男子が女子がいる目の前でそれを口走った時は…



ホントにヤバい時なのは経験でわかっておりました…













一年生男子の一人が登り始めから気になっておりました…




こいつは寝てない…



汗のかき方が半端じゃない…



背負っているのは大型テント一式で20キロ以上…






常に遅れがちだった奴が、遂に立ち止まってしまいました…




わたしは奴の顔を見て…



ヤバい!と思いました…



汗も渇れ果てて、白く塩を吹いておりました!…




パーティーの速度は一番遅い人の速度になります!…



奴が立ち止まってしまったため…



パーティーも立ち止まってしまいました…





このままでは、今日の幕営地まで行けません…






奴は座り込んでしまい、立てそうにもありません!…




顧問と部長と、どうするか話し合いました…






その結果…




奴のザックは顧問が背負って…


奴の面倒はわたしが看ながら、みんなのあとから行く事になりました!…





その日の行程は登り続けてピークを越えて少し下ったところにある幕営地までの行程でした…



わたしは奴を見て、そこまでは無理と判断しました…



顧問と部長に、こいつの事は任せてくれ…


もしかしたら、幕営地までたどり着けないかも知れないけど…


その時は、ピークにある避難小屋に泊まるので、心配はいらない…



等々話して、パーティーに先に行ってもらいました…



みんなを見送りながら…



わたしは小さなサブザックに個人装備だけ背負って肩で息をしてる奴に笑いかけました…




さぁ!容赦しないぞ…


お前のペースで一歩ずつ前に進もうか…





わたしは奴を威し、誉め、叱咤激励しながら…


何とかピークの避難小屋までは、奴の精神力の糸がプツンと切れない事を祈りつつ、一歩ずつ登り続けました!…







パーティーのみんなが夕食を済ませ…



合宿初日の興奮を納めつつ談笑してるであろう、19時過ぎにようやくピークの避難小屋が見えてきました!…




多分、奴は己れの限界はとっくに過ぎているかと思いましたが、山岳部に入部して僅か半年の間の先輩からの指導や自身の鍛練の成果で精神力だけで一歩ずつピークに近づきつつありました!…







そして、ピークにたどり着きました…




よくやったぞ!…



もう登りはないから…



もう歩かなくていいんだぞ!…



わたしは奴の肩を抱きながら避難小屋の戸を開けました…






このあと…


二人が体験する出来事が待ってる事も知らずに…








…その2へ続く…





  


2012年06月12日

雨の夜!…そして!…




雨の日曜日…



ユキエは朝から水戸へ行ってくる!と言って出かけていった…


わたしは山へ行こうと考えていたが、雨のために取り止め…


一日中、ユキエの部屋でゴロゴロしていた…





ユキエは水戸へ行ってくる!と出かけた日は毎回夕方には帰宅していた…




わたしは一日家にいて、まだ何も食べていなかったこてに気づき…


ユキエが帰ってきたら、一緒に何か食べに行くか!と考えていた…








しかし…



ユキエは夕方には帰ってこなかった…




20時になっても21時になっても帰ってこなかった…



携帯電話などない時代、今さらながらわたしはユキエとの連絡を取りようがないことに気がついた…


ポケベルは持っていて、店との連絡に使っていたが…

しかし、わたしは番号を知らなかった…












ユキエが帰ってきたのは日付が変わる寸前だった…



かなり酔っていた…



「起きてたんだ?!…」



「うん…」



「私が帰ってくるのを待っていてくれたの?」



「いや、何も食べてなくて眠れなくて…」


わたしは冗談っぽく言ったつもりだった…



「…あっそう…勝手にすれば…」



ユキエはコートを脱ぎ捨てソファーに倒れこんだ…



「大丈夫かよ?…」



「うるさいわね!ひとりにさせといてよ…」






かなり酔ってて機嫌が悪いようだった…




わたしはユキエが酔って寝ちまうか!機嫌がなおるまで、大人しくしてようかと隣の部屋のベッドに横たわり、天井を見ていた…





小一時間たった頃だろうか…


空腹で目が覚めた…




いや、ソファーの上からわたしを呼ぶユキエの声で起きたらしい…




ユキエは帰ってきた時の格好のままだった…




「ねぇ!…取って欲しい物があるんだけど!…」





わたしはユキエに手を曳かれ、バスルームの脱衣場へ連れて行かれた…





天井のスポットライトが電球が切れているのか?…

わたしがユキエの部屋に転がり込んで来た時から点かなかった…



シャンプー台の蛍光灯があるので不便は感じなかったが!…




「ねぇ!…天井の電球を外して…」



何だ?!…

夜中に電球の交換かよ…




わたしはシャンプー台の椅子に載り手を延ばして電球を回した…




「違うっ! ソケットごと外して…」



…??わたしは天井に埋め込まれたソケットを回してみた…





かなり簡単に回り…


カチッ!と音がして天井から外れた…




見上げた天井には、握り拳くらいの丸い穴が口をあけていて、電気のコードがわたしの手のソケットに繋がっていた…




「どうするんだ?…」



電球を取り替えるのではないことには気づいていた…



「天井の穴に手を入れて!…」


わたしは椅子の上で背伸びをして天井の穴に手を入れてみた…




「ポーチがあるから取って!…」



「?えっ?!…」



わたしは天井の穴の中で手を動かしてみた…



直ぐに何かに手があたった…



そっと掴んで引き出してみると小さな化粧ポーチだった…





わたしはポーチをユキエに手渡した…












受け取ったユキエはポーチを開け、中身をシャンプー台の上に並べ始めた…






銀色の小さなティースプーン!…



注射器!…



小さなビニール袋に入った氷砂糖のカケラのような物!…






「ライター貸して!…」



ユキエはティースプーンの上に氷砂糖のカケラのような物を載せ…



スプーンの下からライターの火をあてた…



氷砂糖のカケラのような物は見る見るうちに溶け出して液体状になった!…



ユキエは器用な手つきでスプーンの上の液体を注射器に吸い込ませた…



左腕を上げて、脇の下の静脈に注射器の針を刺した…



ゆっくりと中の液体がユキエの身体に入っていくのが見えた…









全てが終わると、わたしは全てを元に戻した!…




ユキエは大きなため息を何度も吐きながらソファーに戻っていった…








わたしは大麻やマリファナはよくやったが!…


クスリだけは手を出さなかった…





「やめた方がいいよ!…」

わたしは言っても無駄なことだと悟り、口には出さなかった…






「私!…あんたとここで一緒に暮らすようになってからずっと手を出さず我慢してた…」






わたしは黙って聞いていた…




「今日ね…水戸へ行ったら…ダンナがあと二ヶ月で仮出所が決まったんだ!…」





ユキエは毎月、水戸刑務所で服役中のダンナに会いに行っていたのだった…




「あんた!…ダンナが帰ってきた時、ここにいたら殺される…」







わたしは黙ったまま身仕度を始めた…


…と言っても着の身着のままだから特に何も荷物はない…


ユキエが揃えてくれた着替えは多分、処理してくれるだろう…






わたしは玄関で靴を履きながら、背中にユキエの視線を痛いほど感じた…



振り向きたかったが…

出来なかった…




ドアノブに手をかけた時、ユキエの声を背中で聞いた…




「ねぇ!あんた…日本語で一番美しい言葉って何だか知ってる?!…」






わたしは一度も振り返らずドアを閉めた…







外は雨の夜だった…









取り敢えず、西新宿のアパートへ帰ろうと思い…



雨の山手通りを傘もなく歩き出した…



時たま空のタクシーがわたしの横を徐行しながら通り過ぎた…





わたしは雨の夜の中…



歩き続けた…







ユキエの最後の言葉を思い浮かべた…


「ねぇ!あんた…日本語で一番美しい言葉って何だか知ってる?」






知ってるさ…








それは「サヨナラ!」だよ!…








  


2012年05月16日

雨の夜!…プロローグ!…




わたしは常に誰との待ち合わせでも約束した時間より必ず15分は早く行くようにしていた!…

まぁ、性格だから仕方ない…


待つのは好きではないが、嫌いでもない…





…ユキエは既に来ていた!…




ユキエと店以外で逢うのは初めてだが…


待たせない女は好きだ…



わたしはユキエに対して更に好印象を持った…





ただ…



動物愛護協会からクレームが来そうなシルバーの毛皮のコートは、いただけなかったが…





何か食べた?…



いや、まだ…



じゃあ何か食べに行こ!…



フロントで部屋をリザーブして、わたしとユキエは雨の街へ歩き出した…



二人とも傘を持っていない…



ユキエは自然とわたしの腕に絡み付いてきた…




おい!店の客に見られたらオレ殺されるぞ!…



ふふふ…
大丈夫よ!私…人気ないから…




何喰う?!…



何でもいい…どこか連れてって!…





わたしは六区の小汚ない煮込み屋へ連れて行った…



ユキエはよく食べ、よく呑み、よくしゃべった…






二人とも酔って、雨の中…ホテルへ戻った時は日付が変わっていた…











翌朝、しがみついて寝てるユキエの重みで目が覚めた!…



ユキエも起きた…





ルームサービスを頼みながらユキエが聞いた…



ねぇ!…どこに住んでるの?!…




わたしは西新宿の天井裏に死体があったアパートに住んでいたが、部屋に戻るのは月に一度くらいだった…




銀座八丁目のホテル!…


わたしは笑いながら答えた…




ねぇ…うちに来ない?!…



そんなことをしたらパパに怒られそうだ!…



今はひとりよ!…









わたしは早朝、仕事が終わったあと、タクシーでユキエのマンションがある板橋へ帰る日々が続いた…




お互い、夕方出勤して朝帰りの生活なのですれ違いはなかった!…





ユキエは月に一度、水戸に行ってくる…と言って家を空けた…


わたしは実家にでも行くのかと思い大して気にも留めなかった!…









わたしがユキエの部屋へ転がり込んで四回目にユキエが水戸へ行ってきた日曜の夜にいきなり最終章が来た…











…最終章へ続く……




  


2012年04月28日

雨の夜!…エピローグ…




…この年の年末、ジョン・レノンが射殺された…



わたしはやっと成人になった年だ…



わたしの仕事は、地下賭博のディーラー!…



毎晩数百万の札束が目の前を通りすぎる…





デヅラ(日当)は15000円…


他に客からのチップが数万円…




まぁ、30年以上前にしてはかなりの高額だったかと…




毎晩色々な客を相手にしてきた…





その中の一人にソープランドのオーナーがいた…


当時はトルコ風呂!と呼んでいたが!…(笑)



そいつがやたらとわたしのような若僧にオベンチャラを使う…


多分…


負けが込んでるので、ディーラーと組んで、勝ち組になろうと画策してるのかと…



そいつはよく自分の店に連れて行ってくれた…



吉原の高級店だった!…








わたしはそんな奴が悲しくて寂しくて…


たまに手先で仕込んで大勝させてやった!…





奴が好きなのは、セブンカードスタッドポーカー!…



これはいくらでも指先で仕込めるので、ディーラー次第で誰に勝たせるか!簡単に出来る…













明け方…



雨が降っていた…






今夜は奴を勝たせてやった…




趣味の悪いガラガラ蛇の財布に百万のズクを数束入れながら、わたしに満面の笑みで…


早朝だけど、いい子を待機させているから…店に来てくれ!とのこと…



わたしはサウナに行って常宿のビジネスホテルで寝るつもりだったけど、たまには奴の顔を立ててやるつもりで一緒にタクシーに乗り込んだ…


いや、一緒にではなく…


奴が乗ったタクシーを見送ったあと、15分くらいしてから数寄屋橋の交差点で拾ってもらった!…




地下賭博の客とディーラーが一緒の車に乗るところを見られたら、命がいくつあっても足りないから!…(笑)










奴の店では、ユキエという源氏名のコが待っていた…



ユキエに逢うのは三回目だ!…


わたしはホッとした…



ユキエは商売気がなく、マイペースで気分屋で…



わたしより5〜6歳上だと思う…





そんなユキエだからわたしも一緒にいると安心感に包まれるからだ!…







わたしは取り敢えず二時間寝かせてくれ!…と言って、固いベッドに身体を横たえた…





私も寝る!…



ユキエがわたしにピッタリ身体をくっつけて来るのを、深い眠りに落ちながら感じた…








二時間後…



フロントからの喧しいコールで二人起こされた…







ねぇ、今夜空いてる?!…



ユキエが意味深な笑顔で聞いてきた…



日曜の夜は仕事はオフなので、予定はない!と答えた…






じゃあ!今夜付き合って…



断る理由もないので、わたしは快諾した…








待ち合わせは浅草ビューホテルの待合室!…で20時…





…しかし雨はやまない…






そして、雨の夜…



わたしはサウナから浅草ビューホテルに傘もささずに待ち合わせ時間の15分前に行った!…












プロローグ!に続く…